• Q.1・任意売却のデメリットは?
    A.任意売却は、住宅ローンの滞納状態(最低でも3カ月以上)を前提にした手続きです。
    よって、信用情報登録機関に「滞納履歴」が登録されます。
    結果、最低でも5年間、新規の融資を受けられなくなります。

    他の債務(携帯電話、カードローン、無担保の借入 等)に滞納があれば、状況は同じです。

    また、「Q2]に関係しますが、売却後債務が残った際は、破産申立を行わない限り、その残債務の返済義務があります。
  • Q.2・任意売却後、残債務の支払い方法は?
    A.任意売却が、①「自宅を売却しても、住宅ローンを完済できない」②「毎月の約定返済額が支払えない」を前提にしています。
    ①は、必ずとは言い切れませんが、売却後は、残債務が生じるケースがほとんどです。
    その債務の返済額は、債権者との協議で決定されます。
    ただ、上記②の状態があった結果の売却ですので、返済額は当初の約定返済額より少なくなります。
    ただし、返済金は、原則、利息(遅延損害金も含む)に先ずは充当されますので、金額次第では元金が減らない場合がありますので、ご注意ください。
  • Q.3・任意売却後、そのまま住み続ける事(リースバック)は可能か?
    A.購入予定者が、賃貸借契約を前提に、売買契約に応じていただければ可能です。
    その際、購入予定者は、売買価格に対して、賃料収入がどのくらい見込めるかが、判断の要になります。
    住宅ローンの返済滞りからの任意売却ですので、元々の住宅ローン返済額以上の賃料設定は、貸主、借主双方ともにリスクが高くなります。
    売主(売却後の借主)様に負担の少ない賃料で、その賃料収入に見合う売買価格を、債権者が応諾するかがポイントになります。

    *住宅ローンの返済が困難になりつつある状況で、任意売却の前にリースバックを行う場合は、ローン残債を完済する必要があります。(住宅ローン残債額<売却価格、又はプラス自己資金)
    リースバックを行っている業者様と売買契約を締結する際は、売買価格(業者様の買取価格)が、通常の中古売買相場より、少なくなることが一般的です。
    そうなりますと、それ以下の残債額が条件となります。
    ローン残債額より、通常の中古売買相場が相当高い場合は、リースバック、または任意売却によるリースバックより、一般的な売却を、かつ、早めのご検討をお勧めいたします。
  • Q.4・任意売却が、競売より高く売れるのか?
    A.一般的にそのような情報が多いですが、一概には言えません。
    そもそも、売却の手続き内容が、全く異なります。
    任意売却は、抵当債権者主導の下、売主買主当事者間の交渉のうえ、売買契約。
    競売は、抵当権者から裁判所への申立てに始まる裁判上の手続きで、競争入札において、落札。
    まして、競売案件が全国的に少なくなっている昨今は、入札参加者の数が多くなり、中古相場より高値落札も見受けられます。

    しかし、任意売却、競売とも、売却価格から差し引かれる費用、また、遅延損害金等に、大きな差異が生じますので、売却価格のみで判断する事には注意が必要です。
  • Q.5・任意売却で、売却代金の一部を手元に残せるか?又は、売却代金配分で、債権者から引越し費用等、もらえるのか?
    A.任意売却は、住宅ローン(被担保債権)を担保するため、購入した不動産に「抵当権」という権利を登記した「抵当権者」の承諾のもと、手続きが開始されます。
    抵当権の効力の一つが「優先弁済効」で、他の債権者に先立って売却代金から返済を受けられます。
    残債務が売却代金より多ければ、手元に資金は残りません。

    また、売却代金の配分内容も、抵当権者の意向次第です。引越費用を認めていただくケースは、一般的に少ないですので、当てにはできません。
  • Q.6・住宅ローン残債額が、不動産査定額より多いが、毎月の返済が厳しくなってきた。
    「早めに」任意売却をしたいが、可能か?
    A.住宅ローンの返済が、滞っている期間、住宅ローン会社(金融機関)の動きは、一般的に次の通りです。
    1.催促書面送付 2.督促書面送付 3.支払い期限付きの督促書面及び代位弁済(住宅ローンの保証会社が、債務者に代わって金融機関へ支払う)日の通知 
    4.代位弁済完了及びローン残債全額の支払い請求(*保証会社からの書面)
    上記「3」の代位弁済日までに滞納金を返済できなければ、代位弁済日が、「期限の利益の喪失」日

    期限の利益喪失日より前段階での不動産売却は、住宅ローンの完済が条件です。
    住宅ローン残債額が、不動産査定額(+自己資金)より多い場合は、売却できません。
    期限の利益の喪失日以降に「任意売却の申立て」を行い、債権者に承諾いただければ手続きが開始されます。
    ただし、前もって(期限の利益の喪失日より前)、「任意売却の申立て」を金融機関に行い、受理していただけるケースもありますが、その場合でも、手続き開始は上記「4」以降です。
  • Q.7・離婚予定。任意売却は可能か?
    A.可能ではあります。
    ただし、ご夫婦ともども、上記質問「1及び2」をご理解いただいた上、先ずは下記内容が、最低条件です。

    ①不動産売却時は、不動産名義人全て(共有者全員)の承諾が必要

    ②不動産購入時、金融機関から融資を受ける際、連帯債務(収入合算)、又は連帯保証(ペアローン)で購入した場合。
    その後、婚姻を解消したとしても、当初の金融機関との貸し借り契約内容(連帯、又は保証債務関係、返済責任)は原則変わりません。(転職、失業等での収入減も同様)
    よって、任意売却に対し、連帯債務者等、当事者全員の承諾が必要

    ③当事者の方々が上記を承諾の上、任意売却を行う際、債権者との手続き上、書類等に押印等、手続きに当事者の協力が必要

    婚姻解消の方法(協議、調停、裁判)また、その内容(慰謝料、養育費、等)に、任意売却(売却価格、その後の返済額)内容が影響を及ぼす事が有りえます。
    よって、夫婦間で、事前に十分な協議が必要です。